2008年3月2日日曜日

日本の企業は「構造改革」のなのもと組織の精神的退廃、荒廃はきわまっています。毎日のニュースは経営者のお詫びのニュースばかりです。一体どういう経営者なのか探ってみました。1番のサンプルは小泉路線の象徴である郵政事業です。そのトップの西川氏についてこういうこめんとがあります。「竹中氏の推薦がなければ、西川氏が社長になるなどということはなかった。だが、両者は、西川氏が三井住友フィナンシャルグループの社長だった頃は、表面上、そう仲がよかったわけではない。それがなにゆえ親密になったかと言えば、一人の介在者がいた。それが、ゴールドマンサックス社の元CEOで、現ブッシュ政権の財務長官ヘンリー・ポールソンである。  2003年1月15日、西川氏が社長だった三井住友フィナンシャルグループとゴールドマンサックス社は、幅広い業務提携について合意した。当時、これは、西川氏が社内の強い反対を押し切って進めた提携であり、ゴールドマンサックス側にとってきわめて有利な条件となっているのではないか、という報道がなされた。そのなかで、いわゆる「西川案件」と呼ばれる三井住友銀行と親密企業との間の融資や査定の不透明性が指摘され、“不良債権問題”処理のために三井住友FG側で過大な譲歩が行われたのではないか、という疑惑がささやかれた。つまり、西川氏は、組織を犠牲にして、自分だけはのし上がろうとするタイプなのである。  このような風評を持つ西川氏を今回、日本郵政株式会社の初代社長に起用したのは、大方の関係者にとっても、たいへん意外な人事だった。経団連会長の奥田氏でさえ、「この人事はおかしい」と発言していた。実際、生田正治氏を継投させる声もたくさんあった。しかし、先述したように、竹中氏は、小泉元総理が在職中に西川氏を指名した。これは、まさに「虎の威を借る狐」の行為であると同時に、まるで「イタチの最後っ屁」みたいなものだった。それだけに、たいへん“臭い”わけである。つまり、周囲も至って迷惑するのである。  実は、かつてのリップルウッド社による日本長期信用銀行の買い取り、新生銀行の設立、いわゆる外国資本丸儲けの仕掛け人が、この西川氏や竹中氏と関係の深いゴールドマンサックス社だった。日本長期信用銀行の救済のために8兆円の国費が使われた。これに対して、リップルウッド社は、それを、たったの10億円で買い叩いたのである。  政府は、当時(2000年頃)、「日本企業が長銀買収に名乗りを上げなかったから仕方がない」と言った。だが問題は、長銀の売り手も買い手も、その代理人がゴールドマンサックス社だったことだ。つまり、この時も、交渉過程の後出しジャンケンで、「瑕疵担保特約」が結ばれたのである。しかし、最初から「瑕疵担保特約」の存在がわかっていれば、多くの日本企業が買い手の名乗りを上げたに違いない。それを、まんまとアメリカペース、具体的にはゴールドマンサックスの言いなりの形で推し進めたわけである。
 ところで、西川氏は住友銀行頭取時代、「磯田一郎氏の負の遺産が大きすぎて、住友銀行を立て直す経営ができなかった」という意味のコメントを、磯田氏が追放されてから語っている。だが、西川氏自身が、磯田氏の一番の継承者だったのだ。  磯田氏は、「向こう傷(=ヤクザ)を恐れるな!」と大号令をかけたぐらい、強烈な個性の持ち主だった。彼は、イトマン(かつての伊藤萬商事)のトップに、汚れ役の河村良彦を住友銀行から派遣した。この辺りのことは、佐高信(まこと)氏の著述に詳しい。たとえば、『小泉よ、日本を潰す気か!』(KKベストセラーズ)によれば、河村は、何でも手を汚すというタイプの人物だった。磯田氏は、そういう汚れ役を巧みに使っていたという。汚れ役をつくって、成果が出れば汚れ役を切り、最後は自分の手柄にするわけである。  だが、この手法は、磯田氏から多くを学んだ西川善文氏の手法でもあると思うのだ。なぜなら、彼は、かつて追い落としたはずの磯田氏のことを、今でも尊敬しているのだからである。人間の性向は、そう簡単に変わるものではない。それは、西川氏についても言えよう。  佐高氏をはじめ多くの識者が認めるように、現在、金融界の裏側では、銀行のヤクザ化とヤクザの銀行化が進んでいる。事実、最近のベンチャービジネスを支えている投資家のかなりの部分がヤクザだと言われている。この実態は、昨年、NHKのドキュメンタリー番組でも、たいへん鋭く追及されていた。  このスタートとなったのが、かつての住友銀行による“平和相互銀行の吸収合併”である。佐高氏によれば、平和相互銀行というのは、首都圏に多くの支店を持っていた銀行で、別名「ヤミの世界の貯金箱」と呼ばれていた。つまり、同銀行は、ヤミの世界(=ヤクザ)とつながりの深い銀行だった。当時、住友銀行は関西を中心とした、いわゆる地方区の銀行でしかなかった。それゆえ、住友銀行のドンだった会長・磯田一郎は、関西のトップから全国区トップの銀行になる野望の下に平和相互銀行の吸収合併に動いたのである。  そのために、磯田は、ときの大蔵大臣・竹下登に懇請して特別の便宜を図ってもらい、住友銀行に有利な形で、この吸収合併を成功させた。その過程で、竹下氏が高額の屏風を受け取ったとされる「金屏風疑惑」という汚職事件が起こった。1987年のことである。こうしたダーティーな動きの中心人物が磯田一郎である。実は、竹下登が経世会を結成し、田中角栄に反旗を翻した時の財源を提供したのが、磯田一郎である。その彼の下で活躍し、のちに磯田の後継者となったのが、西川善文氏なのである。  住友銀行の脱法的な行動による、日本社会に対する罪は計り知れないほど大きく、この合併事件だけにとどまらない。当時、磯田氏の下に頭取の小松康という人物がいた。まともな頭取なら、みんな、この平和相互銀行との合併に反対する。だが、磯田は、小松の反対を抑えて、合併を強行した。それでも、小松は、少しはヤミの世界との関係を整理しようとした。そして、ヤミとの関係を切り始めた時に起こったのが、住友銀行東京本店糞尿事件である。1987年、お客がいる東京本店に糞尿がばら撒かれたのだ。つまり、それは「オレたちとの関係を切ろうというのか」という脅しだったわけだ。それで、同年、磯田は慌てて小松の首を切った。ヤミの世界との手を切らないで、かえって身内の首を切ってしまったのだ。小松は、任期満了前だったので、前代未聞の人事として騒がれた。病気とか適当な理由をつけていたが、実際はヤミの権力に屈したのである。  佐高氏の言に従えば、これが、「ヤミとは関係を切りません」というメッセージとなり、以後、住友銀行はヤミの世界と手を組んでバブル経済の先頭を切っていった。有名な「地上げ屋」の出現だ。このヤクザ商法が儲かると見た全銀行が住友の後を追った。すべての銀行が「住友銀行化」、つまり「ヤクザ銀行化」していった。これが、あの“バブル(経済)”だった。
 銀行のヤクザ化が拡大したシンボル的な出来事がイトマン事件だ。関西の名門商社だった伊藤萬(のちにイトマンに社名変更)を、住友銀行はグループの傘下にして凄まじい地上げをやりたい放題やった。伊藤萬本体で360億円、住友全体でも3000億円以上の資金が、ヤミ社会に消えて行ったと言われている。イトマン事件が起こって磯田は失脚するが、彼の負の遺産である「銀行のヤクザ化」は残った。  イトマン事件後、公にヤミへの融資ができない銀行は、住宅金融会社(略称、住専)を“トンネル化”して、ヤミ社会に巨額の融資をし続けた。しかし、その融資もだんだんと加熱化し、バブルが崩壊すると、ついにヤミの世界からもカネを取り立てなければならない事態になった。そこで、ヤミ世界との関係を絶とうという動きが起こった。その時に起きたのが、住友銀行名古屋支店長射殺事件である。名古屋支店長がマンションで射殺されたのだ。それで全銀行の頭取たちが慌てた。つまり、“取り立ては止めろ”という話になった。そのため、不良債権をどこから取り立てて穴埋めしようか?ということになった。  それで銀行は、政治献金をしている政治家を動かして、政府のカネ、つまり税金から出させようと考え、それを実行した。これが、1990年代中頃の「住専問題」だ。こうして、平和相互銀行合併に端を発し、住友銀行が“ヤミの世界の貯金箱”になった。これを実現させたのが、磯田―西川ラインである。  イトマン、いや住友銀行がダーティなことばかりやっていた頃に、佐高氏が磯田氏に次のように質問したことがある。「何で、そんなこと(地上げや買い占め)ばかりやっているんですか?」と。すると、磯田氏は、「何で悪いんだ!」と開き直ったという。業績や利益だけ上げていけば何をやってもいいという考えなのだ。理念とか社会的責任とか、そんなものは全部後回しになるわけである。佐高氏も明言するように、そんな環境で育てられた“優等生”が、西川善文氏なのである。  それで、佐高氏も公言しているが、日本郵政に欠かせない社会的責任とか、過疎の問題とか、そんなことは西川氏の頭には全然ないだろう。郵便局の合理化やリストラを強行し、さらに進めて過疎地や地方を殺すと同時に社員をも殺すという、凄まじい経営が進行していくことだろう。事実、それらは、すでに起こっているのだ。  心ある人々が認識しているように、西川氏は、三井住友のトップとして、ある意味、詰め腹を切らされた男だ。つまり、経営不振で引責辞任をした人物である。まさに、彼は、本業で失敗している人なのだ。そのような人が、なぜ日本郵政のトップに居座っているのだろうか? また、周囲もなぜ、それを認めているのだろうか? 西川氏に真の理性と謙虚さがあるのなら、恥ずかしくて、日本郵政社長の要職など、きっと固辞したはずだ。それをしなかったというのなら、彼は、相当、厚顔無恥な男だ。いわゆる、まったくの”恥知らず”である。今の日本には、彼のような手合いが、本当に多くなった。私は、このような人物が退陣しない日本に、真に明るい“将来”はないと思うのだ。  西川氏は、日本郵政の「救世主(=建設者)」だろうか? それとも「破壊者」だろうか? 端的に言って、私は、前者ではなく、あくまで後者だと思う。小泉氏や竹中氏の論理を突き詰めていくと、郵政事業が成功することが目的ではなく、むしろ破綻することが目的だったのではあるまいか。成功するためならば、あくまで生田正治氏をトップにすえるべきだったと思うのだ。本質的に無能で邪悪な西川氏は、トランプで言えば「ジョーカー」みたいなものだ。誰も、ババは引きたくないものである。   彼は、支店長時代、怒ると、よく灰皿を投げたと言われる。だが、そんな短気さばかりでなく、“邪悪さ”を持ったヤクザもどきのトップに仕えなければならない全国の郵便局・社員が、私は、本当に可哀相だと思う。だって、考えてもごらんなさい。誰だって、堅気であれば、ヤクザの下で働きたいなどとは思わないはずだ。私は、そんな許し難い“野蛮な状況”が、現代日本の「郵便事業」の現実なのだと思うのだ。

0 件のコメント: